子どもの学習環境を整える

幼い頃から色々子どもに教えてきて、今は中学生の1年間が経過したところで、学習環境について整理してみます。

特に前記事で書いた インプットのすゝめ | 外道父の匠 に繋がるところで、学習の軸となるインプット・ソースについては誰しも一考の余地アリなのではと思っています。



学習の目的

これは家庭によって異なるところなので、目標地点はどこでもいいとしても、少なくとも何もやらないとか、漠然とヤレって指示するよりは目的や目標があったほうが親子ともに良いと思います。

小学生なら通知表の『とてもよい』が 2/3 以上とか、中学受験に合格するとか。受験については過去に振り返りをしています。

中学生なら通知表を良くしたり、期末テストや全国テストでより上位を狙うとか、高校受験があるならその合格へ、と。

学習において重要なのはやはり時間なので、よく平日何時間・休日何時間とか表現されます。しかし、これもただ勉強しろと座らされる2時間と、目的と効率を考慮した2時間とでは、10未満 か 100 かくらいの違いが生じてもおかしくない、のは特に子どもにおいて言えることでしょう。

平均的に2時間必要と言われている箇所でも、やり方次第では1時間以下で済ませられることもあります。その場合は少ない時間で済ませられる考え方や集中力が優秀でありそれで十分で、しかしその持続力が人によって1時間なのか4時間なのかは異なるところで、そのあたりは性格や適性・家庭環境が関わる、いわゆる『勉強自体が得意』かどうかって話になると思われます。

ただ、勉強が得意でもそうでなくても、今より上を目指すって目的があるとしたら、学習環境そのものについて一度見直してみるってのは、誰にも共通して有効なのではと考えているところです。


学習環境の要素

『賢さ』──と言っても、あくまで『学校の勉強』としての話ですが、どのような要素が関わってくるかを整理してみます。

  • 先生や講師の実力・相性
  • 周囲の友人関係
  • 家庭の親兄弟
  • 教科書
  • 配布物
  • 宿題・提出物
  • 塾やオンラインでの講習
  • 学習道具(部屋・机・椅子・文房具)

  • 人間関係においては、義務教育や生活環境に密接してくるところはわりと運要素が強いですが、任意の講習だとやりくりのしようがありますし、家庭環境もやり方次第です。

    学校で定められた学習教材や課題は固定なので受け入れるしかないですが、それ以外の普段の読書や勉強の補強材料は選ぶことが可能です。

    今回書きたいのは、勉強めっちゃできるようになろうぜ!って話ではなく、調整の余地がある部分を改善することで、より勉強を苦なく効果的に持続できるようにしようぜ!ってところです。


    教科書の不満点

    特に改善したいところが教科書です。これはインプットの一次ソースとなる超重要な教材です。

    地域・学校によって内容が異なるでしょうし、全国的にどれくらいの種類が発刊されているか知りませんが、親は一度は教科書の中身を眺めてみると良いと思います。

    私が見てみた感想として3つを整理してみます。

    読みづらい

    ページごとの文章の量や、ページの切り替えが考慮されていない構成、妙な挿絵とセリフ、などとにかく読みづらいと感じたのは特に数学です。

    学校という組織において、時には下のレベルの者を置いていかないことに重きを置くことは理解しますが、おそらくその辺を考慮したと思われる絵とセリフによる説明が、完全に逆効果と感じました。

    絵とセリフ、図形やグラフなどの配置と量に無駄が多く、シンプルに読みづらいってのが第一感想でした。

    理解しづらい

    読みづらさは当然、理解のしづらさに繋がってきます。

    噛み砕いて説明したつもりの部分がイマイチで、肝心の大事な考え方や計算方法などが書かれていなかったりします。

    効率的な、もしくは誤答に繋がりづらい方法を使わずに苦労しているのを見ると、やはり教科書か先生の教え方がイマイチなのではと思ってしまいます。

    仮に教科書がダメで先生は優秀だったとしても、だから先生が教科書を補うってのに期待するのも違うと思うんですよね。

    情報が足りない

    短期的には定期的なテストの点数を取るために勉強をするわけです。

    で、その学期末テストでは教科書には載っていない配布物から出たり、端っこの細かい箇所から問題を出されたりします。

    全国模試だと全体の学力の差があったり、100点が頻出しないようにするってところで、難題が出たりもします。

    それ自体はまぁイィとしても、大事なのは解けなかった・闘えすらしなかった問題を復習して徐々に出来る問題を増やすことにあり、それをするにはあまりに教科書の情報が不足しているってのがあります。

    さぁ勉強しましょう勉強するぞとなっても、その情報ソースが頼りないことが確定している状態では、ヤル気にも繋がりづらいのではなかろうか、と思うわけです。


    教科書の補強材料

    人それぞれ得意分野・苦手分野があるのは当然としても、ある子どもの学習状況を観察していれば、どのくらいの総合的な学力があるかなんてのは大体わかります。

    その学力において、これくらいの理解はできそうなものが理解できていない、という箇所があって教えてみると、解き方や覚え方を知らないとか、そもそも教えてもらっていない(聞き逃しの可能性もアリ)とか教科書に載っていないと言い、実際に載っていないこともありました。

    教科書と配布物とのズレや、テストでも意図的に難しい問題が出されるなど、諸々事情があるのを理解したうえで、では闘えるようにするにはどうしたらよいか、という方向に考察せざるを得なくなります。

    私的なその1つの解が『参考書』でした。別に【ガクサン】に影響されたとかではなく、本屋を徘徊した結果です。

    小学生の頃から本屋で学習材料を探す時は、さきほどの教科書の欠点の真逆を軸として探します。読みやすい・理解しやすい・情報が十分である。

    最近は子ども用の良い本が盛り沢山なので、何かあるだろうと思って探したら、わりとすぐに条件を満たしつつ、中学3年間分が1教科1冊になっていて、プラス対応する問題集もあるシリーズを発見しました(具体例は控えておきます)。

    参考書1冊あたり 3000~4000円 で 5教科1万7千円 くらい。問題集も買ってみたけど必須ではないかな、という感じ。この値段が高いか安いかでいえば、圧倒的に安いと思うんですよ。塾に通わせたことがある人ならわかるでしょうが、1~2ヶ月分の費用と同じくらいで、まともな一次ソースの3年分を手に入れることができるわけですから。

    また、最近の学校は教科書をロッカーに置いてくるので、家に教科書以上のものを揃えておけるというのも大きいです。買う時は一緒に納得して買い、気に入ってよく読み込んでくれた結果、成績をかなり伸ばすことに成功しました。


    オンライン英会話

    賛否はどうあれ、↓こういう現状があります。実際に学校のテスト結果で平均点や上位の点数、英検の合格数などを見ると、その実態を実感できます。

    ウチではこれを想定して、中学受験に取り組みつつも、並行して無理のない範囲で継続的に英語に馴染ませてきました。そのおかげで、中学生以降も得意分野となり、その件について問うてみたところ、

    小学校でも英語はやったけど、ほぼ中学では通じない内容だった。とのことで、何もしないとしたらその剥離は厳しいものになるだろうことが想像できます。


    我が家では、本人の希望で1年生からアメリカへホームステイへ行くことになり、それをキッカケにオンライン英会話を開始しています。

    最初だけは週3を3ヶ月ほど続け、それによりホームステイ先でもあまり苦労しなかったようだし、英検でも試験官の発音がカタカナっぽくてしんどかったと偉そうなことを言うようにはなりました。

    帰国後は週に1~2回に抑えつつ継続しており、それでも十分なようです。やはりわずか2週間とはいえ若くして現地を経験したってのも、大きかったようにみえます。

    オンライン英会話は講師や回数にもよりますが、月額1万円程度もあれば十分で、これに類似した取り組みをするかしないかでは、相当な差になるのは明白です。格差が生じやすい環境において、高得点を取ったりネイティブ講師に褒められると成長の好循環に入れますが、1度できない側になってしまうと、そこから這い上がるには結構なパワーを要するってのは、いかんともしがたい現実です。


    文房具

    中学生になるとシャープペンが解禁されたり、ノートを多く必要としたり、教材や配布物の整理を自分でするための小道具があると便利、といった環境の変化があります。

    学習において必ず存在するのは消耗品です。ノートを筆頭に、シャーペンの芯、消しゴム、クリアファイルなど。これらに遠慮したり、足りない足りなくなりそう、など考えるのは無駄なので多めにまとめ買いしていきます。

    これはどうせ消費するので財政状況に関係ありません。大人で言えば、考え方が貧困だと、SUICA に千円ずつチャージしたりしますが、1万円ずつチャージする方が時間の無駄が減るだけで最終的に使う金額が変わるわけでもなく、なんなら自動チャージで終わる、そういう話です。

    ノートが潤沢ならば、極端に詰めて書いて見づらくすることなく、1日◯ページというように気兼ねなくわかりやすく使ってもらうことができます。

    シャープペンも慣れた頃に少し良いモノを買ってあげると喜びます。本屋などで実際に触らせて気に入って、(子どもにとっては高価な) 1500円程度で少しでもヤル気が継続上昇するなら安すぎるくらいで、ついでに少しでも字がキレイになれば儲けものです。

    文房具の値段なんてたかが知れてるし、確実に役立つ道具の部類だしで、コスパ・タイパともに投資価値が高い要素になると思われます。


    インセンティブ

    学習そのもの、または学習結果に対してインセンティブをつけるのは賛否ありそうですが、私としては大人だろうが子どもだろうが、ご褒美があった方がヤル気出るに決まってんだろうが!というスタンスです。

    特に子どもは月々のお小遣いとお年玉の残り、しか財力がないわけで、大人が自分にご褒美するのとは事情が全く異なります。大人という立場から子どもの立場に対して、インセンティブなんて必要ない・邪道であると断定するのもまた少し違うのではないかと思います。

    条件としてわかりやすいのは、中学生なら定期的に実施されるテストでの学年順位あたりで、他には英検・漢検・数検に合格、とかも良い体感です。人によっては、毎日何問を解いたとか、何分机に座った、とかを1ヶ月単位で考えても良いかもですね。

    報酬としては、シンプルなのがお小遣いアップ。結果と交渉次第では、お小遣いでは届きづらい欲しいモノ。オマケで家族お気に入りの外食をつけるなど。

    この辺は完全に家庭によって異なるのでアレですが、もし勉強以外で部活や趣味など深く頑張る活動があれば、それに必要な道具をご褒美で買ってあげるとしたら、最高のお金の使い所としか言いようがない気がします。


    コストパフォーマンス

    ここまで、参考書・英会話・文房具・インセンティブに投資する話をしました。

    この中では英会話・インセンティブの額面が大きく変動もあるところで、それを加味してもせいぜい年間 20万円 前後といったところでしょうか。

    特に昭和生まれかつ地方だと、ただ流れと自力で公立の中高と進学してきた人も多いでしょうから、これを高く感じたり、学歴社会・格差社会うんぬんと言いたくなる人もいそうではあります。

    ただ大人になって家庭を運営するとわかるのですが、20万円 って簡単に吹き飛ぶ額なんですね。食費・住居費・光熱費・外食・旅行、などは独身だとたいしたことなくも、家族3人以上でってなると恐ろしい額になるわけです。映画に行ってちょっと売店つけると1万円近くとか、飛行機代が片道で10万円以上とか、マジパネェっす。

    そんな中で『子どもの学習費用』という圧倒的に現在から未来に向かって意味のある要素に対して、20万円 をどう感じるかという話です。とはいえ、これは親の年齢や収入によっても変わるもので、安く感じるべきという話でもありません。

    あくまでそれぞれの家庭事情におけるバランスの話ではあるのですが、それでも1回旅行を控えたり、最新のグラボに手を出さないだけで、1年間の高い効果を見込める学習費用に使えるとしたら、そっちに回すべきじゃねっていう優先順位の話で、

    できるだけ全部やれるように親も頑張るけど、投資効果の高いところから、効果的に進行していくように心がければ、学習環境への投資がコスパ良くオススメなんじゃないかな、という感じです。


    『趣味は遂行する』『家族も守る』『子の学習環境を整える』「全部」やらなくっちゃあならないってのが「親」のつらいところだな

    ただ、そうやって金や時間をやりくりしたり、適切な行動や判断をしているところを子どもに見せていれば、その時はその価値がわからなくとも、大人になってから自分の親がやっていた・やってくれたことの価値を理解できたりするので、

    そこから自分が親になった時に思い出して、またイィトコ取りして時代にあった効果的な判断をしていく── と上手いこと循環するとよいですね:-)