前回の続きで、中学受験を検討する上でどのようなことを考えたかをまとめてみます。
せっかく取り組むのであれば、少しでも良い内容にしてあげたいではありませんか。
はじめに
検討事項としてはこんなのがありましたよ、という私の考えを概ね優先順に挙げていきます。ついでに私の考え方も書きますが、当然人それぞれの話なので、色んな意見を見た上で自分たちに合うように噛み砕いて、志望校を整理していくとよいと思います。
偏差値
受験において最も取組内容が左右されるのが偏差値です。偏差値至上主義とか、そういう話ではなくて、どのくらいの難易度に挑戦したいのかのゴール地点を明確にしないと、努力と時間の見積もりができないからです。40, 50, 60, 70 のどのあたりにするかにおいて、例えば70以上となると低学年から取り組みつつ幼少期の過ごし方も重要になるでしょうし、60台でも中学年の早めからは必要なイメージです。高学年からなど遅くからになるほど、子どもの素の能力と性格に頼る受験になりそうです。
偏差値と学校を調べる時の注意点として、情報源によって数値が全然異なるので、1つの情報に絞って調べることです。私は以下をよく参照していました。
偏差値が近くても受験内容と相性によって難易度は全然変わるので、数値そのものを鵜呑みにしたり目標にすることは、あまりオススメしません。それは募集要項をよく読んだり、パンフレット的な情報に触れるほど実感できると思います。
また、メイン志望校と同じくらい大事なのが、抑えのいわゆる滑り止め校になります。滑り止めはメンタル的に重要なので甘く考えず、メインより10以上低い偏差値帯を見据えることになるので、その辺を見繕っておく必要はあります。
当初の目標から最終的な目標まで移り変わることもありますが、いざ受験勉強開始となると、難易度と受験タイプに合わせてまずカリキュラムを組むことになるので、(仮)でもいったんの目標を立てる必要はあります。
共学 or 別学
東京には別学の数がかなり多く、特に難易度が高めの学校を探そうとすると途端に別学ばかりになり、共学志望には厳しく感じることになります。昔は異性がいない方がうんぬんみたいな考えが強かったせいなのかもですが、最近の新しい人気校などは共学だったりしますし、都立系は全て共学なので、時代が変わりつつあるタイミングでどのような選択にするかは難しいところではあります。
私としては共学一択ですし、超難関志向みたいのはないので、一瞬にして最上位関連は選択肢から外れ、かつ共学のみ検索するので、ある意味絞り込むのは簡単でした。
私は男で子も男ですが、共学志向なのは簡単な理由で、異性もいる方が青春期は楽しいからです。ただの席替えからイベントまで、全く異なる経験になるのは間違いありません。
また、社会は男女で成り立っているのに分けるというのは不自然な話です。特に重要なのは、異性と【普通】に会話するということです。おどおどせず、邪な雰囲気を出さず、普通に話せるって本当に重要だと思うんですよね。バイトや合コンで知り合うとかじゃなく、日常にいるってのが大事。
私は一時期在籍していた大学で、男子校出身者によく質問していたことがあります。
『男子校って楽しいの?』と。それに対する答えは不思議なくらいほぼ一貫していて、
『男子校は男子校で楽しいよ。』でした。
このセリフに続くセリフ、または言わないけど省略されるセリフは、
『でも女子がいた方が良かったに決まってんじゃん!』です。
そういう男はやはり、大学生活始めは対女子がぎこちなかったりするので、私の中では多少の優秀になれる傾向のデータがあるとしても男子校は【ナイ】なと思った次第です。
(※どんな環境でも楽しめるのは理解している上で、の個人の感想です)
通学経路
私は通学・通勤時間はとにかく短いに越したことがない、という考えを持って生きているので、偏差値と同じくらい重要視して受験校を探しました。探し方はさきほどと同じリンクになりますがこちらがオススメで、
例えば東京23区全てで検索し、地図表示にすると、存在する全ての受験校が表示されます。GoogleMap検索だと、どうしても全ては出ず通常の公立校も出るのでイマイチです。
東京はJR・地下鉄・都電・バスなど公共交通機関が充実しているので、現在住所の区だけでなく周辺区も調べた方がよいです。意外と近くのバス停から1本でいけるところに志望校にできる学校があったりするので、単純な半径距離だけで調べるのは勿体ないです。
通学所要時間や乗り継ぎ回数は少ないほど、有効な生活にできたり、リスクを減らせるので、これぞという志望校が決まっていない状態ならば、地図を元に可能性ある学校を絞り込む、というのはわりと良いアプローチだと思います。
ちなみにバスの探し方は、基本は公式になりますが、
こちらは GoogleMap の方が直感的にわかりやすく探せるかもしれません。『バス停』で検索すれば表示されますし、その詳細を見れば、通る路線番号や時刻、路線の通り道そのものも表示されるので、その道の先にある学校も視野に入れると選択肢が広がります。
あとは賃貸なら合格確定後に引っ越す選択もあります。提出書類が少し増える程度で可能ですが、都立系だと入学時の都内在住は必須なので、県からの挑戦は調整が少し面倒そうですね。
入試タイプ
受験対策するにも色々入試タイプがあり、帰国子女枠などは特殊なので置いておくにしても、一般的な試験にはだいたいこのくらい種類があります。- 私立系
- 4科(国算理社)
- 2科(国算)
- 1科(算)
- 特殊系(英語や面談を含むパターン)
- 都立系
- 適性検査(国・算をベースに理社を混ぜた作文・資料、と小学校の成績報告書)
もし、これぞという私立志望校がある場合は、迷わず4科で勉強して挑戦するのが最も合格確率が高くなると思われます。そもそも4科でしか受けられないって学校もありますが、2科と選べる場合は合格判定の仕組み上、4科の方が受かりやすいからです。
都立系で適性検査にする場合、まず小4または小5からの成績表を元にした『報告書』が必要になり、試験の点数の 25% ほどの影響力があります。三段階でオール3なのかオール2なのか(1は論外)、で本番 200×3=600 点満点のうち 60点以上ハンデを背負うくらいには重要な要素になります。この辺が、歴代の担任の先生との相性などが関わり、適性検査が『運』と言われる理由の1つですね。
適性検査の本番試験は、作文数百文字を含む国語系、理社系の資料問題、算数系の資料問題、みたいな3科目で、比較的算数寄りに配点されるのですが、作文や説明解答があるので普段から本を読まなかったり、国語がからっきしな場合は向かない試験です。小学校の学習範囲しかでないと謳っていますが、それだけで戦える問題では全くないので、対策時間を考えると4科との併願はあまり現実的ではありません。
全体的に理社は配点が少なかったり、取り組み時間の都合、適性検査との併願、とかの場合は2科や1科でも挑戦するかもしれません。2科は全然普通にありえる選択肢なので、4科と同時判定の場合は少し不利だよってくらいですが、算数1科は要注意です。見た目通り、いわゆる算数バカが挑戦するタイプで、めちゃくちゃ問題が難しいです。少なくとも1科で取り組みやすそうだからという甘い考えで算数1科メインでスケジュールを組むのは、よっぽどな子以外は避けるのが賢明です。
受験本番スケジュール
最初の頃に志望校を考えている時あたりは、本番の 2/1~2/4 のスケジュールについてそこまで真剣に考えていないことが多い気がします。試験タイプが色々ある中で肝心なのは、1種1校のように選択肢を絞るのは危険ということです。どれだけ普段の成績がよく、どれだけ合格判定『A』だろうと、しょせんは小学生ですし、応募倍率もそもそも高いので、どれも落ちても不思議ではないし、4日間全落ちするってのも稀ではありません。
学校によっては特待生枠があり、全日程の中で1回取れれば学費が安くなる、ような仕組みもあり、合格しても特待狙いで全日程を受ける場合もあります。そういう方の経験として、『A』判定だったのに、特待どころか5回中1回しか合格を取れなかった、という体験談もあり、中学受験の恐ろしさが垣間見えます。
各校の募集要項を見るか、塾で配布する資料を見れば、4日間の午前・午後でどの試験を行うか知ることができます。受けたい試験が被って選ぶ必要があったりするので、うまい具合に散らしてスケジュールを組むことで、『最低限の合格』と『挑戦的な試験』を両取りするのが一般的です。
多くは初日午前にメインを、初日午後に滑り止め、といったように組むようです。合格発表の多くは、受験日当日の20~22時、または次の日の朝、なので二日目以降を合格を確保した状態か、ゼロな状態か、でメンタル面で大きく異なります。
また、都立系は1回しか受けられないよう 2/3 午前 に確定しているので、受ける場合はそれを軸に考えますし、受けない場合は同刻がチャンスとなる場合もあるかもですが、そこに日程を含めない私立も多いです。
スケジュールが進み、メインを勝ち取って終わりにする人もいれば、せっかくだからと予定したものを全部受ける人もいます。その辺で応募倍率と実質倍率が異なるのですが、
後半になるほどまだ勝ち取っていない組が集まることになるので、当然厳しくなっていくため、だからこそ『最低限の合格』確保が重要になると言えます。
入学後の取り組み
受験の目的は目下のところは合格することではありますが、その先の入学後にどのような学習や取り組みをする学校であり、子どもにとって健康的かつ興味深く学んでいけるか、が本来の目的なわけです。そのわりには優先順に書いていくとここまであとになるのは、やはり合格しないとその本来の目的も実現できないわけで、受験対策が優先されるのが悲しいところ。また、多くの小学生には確固たる目的や目標ってのはなかなか持ち得なく、実際問題として入学したい中学を考えて選びなさいと言っても選べないわけです。それでも少しずつ説明したりHPやパンフを見せていると高学年になれば理解してきますし、特に説明会に実際に足を運ぶとイメージしやすいようで、自分の意志でここを受けると言えるようになります。
特徴的なところだと、部活・語学・工学・留学、などで自分の興味に合ったところを選ぶことになりますが、特になければ汎用的な進学系を難易度で選んだりするでしょう。どうしても目標が定められないときは、文化祭や制服あたりの好みで考えさせたり、小さくともなんでもよいので理由をみつけてモチベーションを持たせるのが受験対策の大事な要素になります。本当に何も行く理由がない状態だと、勉強するモチベーションを保てないですからね。
ある程度の志望校を親が絞り込みつつも、3つ4つの情報を与えて、自身の意思で選択したのであればそれを優先的に日程を組んであげるのが多分よい道筋なんだろうなと。そのためにも説明会に足を運ぶ、というのはオススメであるものの多くは小6と時期的に遅く、悩ましいところです。早ければ小4から学校にイベント参加できる学校もあるので、各校HPの受験情報には目を通しておくとよいです。
受験費用と学費
お金のことは大事なので、まず安いのは都立系、高いのは私立系ですと。どこにするにしても、受験費用から入学金・その後の必要経費まで、調べれば明確に記載されているので確認します。都立か私立かで最も違うのが費用で、都立なら受験費用が2000円程度、入学後も年間10~30万の範囲です。それに対して私立は受験費用が2~4万(複数回応募は費用同一も多い)、入学後は年間50~120万以上と様々で、高いけど多くは、実は認証保育園に通うのと同じくらいだったりして、まぁ・・・といった感じです。
でも色々説明会に行ったり、実際に試験を受けると感じるのですが、都立系は良くも悪くもやはり税金で運営されている印象を受けるのに対して、私立は高いだけあって施設や取り組みには公営にはない品質を感じるモノがあり、一長一短といったところ。
実態としてコロナ以来、私立の人気が伸び続け、都立の倍率が軒並み下がっており、そういった不測の事態の対応力に期待した現れだとか言われたりしますが、元々条件的に難易度が高い都立系の倍率が緩和された状態はそれはそれでちょうどいい気もするし、どちらも考え方一つで優良だと思うので、お金が足りて内容に納得できれば、どっち受かってもえぇやんってくらいの感じです。
給食
小学校では大いに恩恵を受けた給食ですが、ほとんどの中学受験校には給食が存在しません。学食があったり、朝注文できる弁当があったりしますが、基本的には家庭からの弁当持込みを推奨されます。なんということでしょう。給食って仕組みは大人数の集合に対してめちゃくちゃ効率がいい気がするんですけど、やっぱ維持管理が大変なんですかね。まぁ高校生あたりからは自分で買いたいとか言い出すんで、中学では頑張って弁当を作って、一応学校での弁当の買い方も知っておいてもらって、どうしてもって時は千円渡すみたいな運用になりそうな予感。そして徐々に自分でも作らせるってくらいが健全かな。なんといっても自分で作った飯が一番美味いからね!
おわりに
過熱する中学受験と言われていますが、選択肢があることに対してより良い環境を我が子にって考えたら、過熱するのもしょうがない気はするんですが、少子化どこいったって感じの倍率や雰囲気ですよね。実際に最後まで取り組んでみるとわかるのですが、自分の試験なら自分を追い込んで頑張ればいいだけで自己責任なのですが、子どもって詰まるところ他人なので、他人に努力を半ば強制して、しかもその結果には全ての責任は持ちようがない、みたいなところが精神的にホントよくない。
本番の初日とか、現地で送り出した時にガラにもなく感動を覚えたし、試験待機中や結果待ちの時は気が気じゃなくて
そういう冷静さを失う場面はあるかもだけど、過熱してるかと言われれば、別に他人と比べて何かを決めたり取り組んだわけじゃないので、全然知らんがなって感想ではあります。過熱っていうか単に常識が変化したことによる事象なだけで、過熱っていうとわれもわれもって印象になるから、ただの煽り文句な感じがして好きじゃないです。
少なくとも取り組む価値はあったし、親子でそういう感想戦にもなったんで、少しでも良い選択、良い取り組みにできて、できれば合格も勝ち取れれば最高ですね、ってだけな話ですね中学受験:-)