小学校のPTA作業を改善した記録

子を持ち育つと必ずやってくる関わりに、古の組織PTAがあります。

今回、そのうちの軽めの役割を担当した際に、作業を改善した内容の記録をしつつの雑談です。



PTAの現状

PTA – Wikipedia や各学校のPTA概要を見るとわかるのですが、Parent-Teacher Association とは名ばかりで、先生はあまり関わらず、一部の親たちによる半強制的な慣習的活動になっているのが多くの現状です。

在学中に1回は何かの役割を受けないといけないとか、年に数回の持ち回りの役目があるとか、そういうほぼ強制的な仕組みが批難の理由だったりするのですが── 活動内容によってはそうとも言い切れないのが面白いところ。

例えば運動会当日の準備と片づけは、要請されればパッと集まって済ませれば先生の負担が減るからやればいいし、登下校の旗振りはウチはシルバー人材の方が担当しているけど、見てると自分も歳とった時にああいう社会貢献もアリだなって思ったりもします。

問題は平日の昼間にやろうとする活動です。コロナ禍でようやくWEBベルマークになったけど、それまでは手作業だったみたいだし、町内パトロールなんてのもあります。広報は遠足についていったりと、なかなか重い。

勤め人にとっては、半休全休をとらされてまで強制される言われはないと感じますし、逆に時間に余裕がある人にとっては、自分は役目を受けてるのに他の人がやらないのは不公平だとなり、なかなか酷いゲームバランスになっていると思います。

ただリモートワーク主体になったことで、昼間に小一時間抜けるくらいは別にたいしたことではないと心変わりもしました。でもそうじゃない人にとっては変わらないわけで、、

私は複数人でなにかに取り組む時、お金や時間は多い方ではなく少ない方に合わせるべき、と考えているので(昔、趣味仲間が多様だったため)、そろそろ多様な生活環境に対応した活動方針にするか、いっそPTAをなくすか、がよいと思っている次第です。


PTAの役割を受けるまで

最近はPTAを無くした小学校もあると聞きますが、たいていは自然に無くなるのではなく、マンパワー発動によって筋道と根回しの両立でやりきるみたいです。

PTAが嫌なら役員になって無くせばって考えもありますけど、6年に1度役割をこなすか、役員にまでなって無くす茨の活動をするか、だと前者の方が明らかにコスト低いですからね。無くす活動をやりきる人は、凄いと思います。

で、私はというと、ママ友が1年生に終わらせるほうが楽という噂を聞いて挙手する傍らで、6年間の間にPTAが無くなる方にベットしたぜ。

……が、全然ダメッ……!!
コロナ禍に突入しても無くなる気配なしっ!

ということで、6年生は大変という噂を信じて、5年生で済ませることに。

Let’s 次期役員選出委員☆


役員選出委員の悪所

ということで、今回はいくつかある役割の1つである、(次期の)役員選出委員を受け持って、どうしたかを記録します。

まず年度の初月に、引き継ぎがありました。委員長と副委員長を決めて、連絡手段を決めるところからです。私はお母さんたちとのコミュニケーションをするよりは、データ整理などが得意なので、引き継ぎデータの管理者としてもらい、過去の記録を確認するところから始めました。

今回の役目は、その名の通り役員数名を4年生以下から選出することですが、記録から悪所がいくつか見られました。

  • 委員が分担して全親に電話をかけ、役員を受けてもらえるか聞き取る
  • 電話代は一切出ない
  • プリント配布で他者の役員推薦を募る
  • 名簿と聞き取り結果をExcelで集計
  • 配布プリントのデータはWordで作成
  • 進行や結果伝達はLINEで共有し、1名がExcelを更新
  • 引き継ぎデータはUSBメモリに全て保存

細かくは他にも色々あるのですが、ザッと見て、全体の流れを想像しただけで、これは厳しい!と感じたので、思い切って改善してみることにしました。

そうは言っても、前年度まででも結構改善されており、連絡手段がLINEになってたり、数年前分から手書き!?からWord/Excel に切り替えたりと、完全に慣習に従っているわけではなく少しずつ変化していっており、わりと改善に着手しても怒られないんじゃねって思えたのも助かりました。


改善点

どんなところを、どう変えたのかをまとめてみます。

1つ1つは全然たいしたことはしていませんが、総合すると大幅な改善になったと思うので、PTA作業でお悩みの方に参考になればと思います。

連絡手段

もともとLINEだったので、そのままLINEにしましょうとなりましたが、情報伝達の整理を初手でキッチリすべきと感じたので、唯一である最初の集合時点で、LINEグループをパパッと作成して、それぞれに参加してもらいました。

  • 委員責任者のグループ
  • 各学年ごとのグループ

まぁ今どきLINEを使えない人はゼロですし、この作業は元となるグループさえ作ってしまえばスンナリでした。

これにより一部の学校作業を除き、初日以外で集合することはありませんでした。

管理データ

Word / Excel で作成されたデータは、いちいちデータを丸ごと渡し合って相談したり、編集しあったりすると地獄を見るので、即座に Googleドキュメントとスプレッドシートを提案しました。

いったん、引き継ぎデータから今年分を準備し、それをひたすらインポート&URL共有化していきました。

で、そのオンラインデータのURLを送信し、オンラインで複数人で編集し合うことを提案しました。聞いてもらった方のうち、ほとんどはオンライン共有編集を知らなかったけども、反応としては「便利ですね、そうしましょう!」という感じで、わりとすんなり通りました。

これにより、文書データの編集はお互いに見ながらLINEで相談しつつ編集したり、役員候補のデータ一覧を各個人が書き込んでいく、ように、余計な情報伝達を減らすことに成功しました。

立候補募集

以前は役員募集についてはプリントが配布され、自身が立候補するかどうかと、他者を指名推薦する、という2項目でアンケートがされていました。

立候補はいいとして、他者推薦って意味不明な仕組みで、人身御供以外の何物でもないと感じました。まぁそれほど立候補が少なくて苦しいことがあったんでしょう。

この仕組みはプリント配布自体は継続したのですが、以前同様の手書き記入と両立で、QRコードも記載してオンライン・アンケート形式を用意しました。アンケートはGoogleフォームで、自身の立候補してもよい度合いを5段階で選択し、他者推薦も一応記入できるようにしました。

度合い選択は結果的に良い仕組みだったようで、ザックリ選択肢としては
  • やってみたい
  • 興味がある(話を聞いてみたい)
  • 候補がなければやってもよい
  • 既に役員をやった
  • 来年度はできない
という感じ。

アンケートを作成したら、回答用URLをコピーして、QR生成サイトでQRコードを作成し、プリント用のドキュメントに貼り付けるだけ。

結果論ではありますが、この改善効果が非常に高く良いことづくめで、
  • 全体の85%が回答してくれた
  • 回答者のうちQRコードからの回答が90%
  • 高い立候補度合いが多く集まった
  • 他者推薦がなかった
  • 電話での聞き取りがゼロになった

やはりオンラインの方が回答しやすいのだろうって感触でしたが、それよりも全親への電話が不要になったことが大きいです。

知らない番号からかかってきた電話って、現代ではほぼ取らないって人もいるじゃないですか。なので、何度もかけることになってノルマが全然減らないし、電話代もおそらく数千円単位でかかるしで、迷惑営業じゃあるまいしボランティアでやることじゃなかったんです。

立候補者への連絡

そのあと、立候補してくれた人には連絡する必要があります。

フォームのアンケート結果をスプレッドシートにアウトプットできるので、一覧をちょちょいと編集して、シートでクラス分けし、かつ立候補度合いでソートして共有しました。

あとは度合い順+一定以上度合いの方に連絡し、人数が足りた時点で連絡業務は終了となります。元々は1人あたり数十回、下手すると百回以上かけてた電話が、ほぼ立候補確定な数名に絞られるという結果です。

少し工夫が必要なのは、フォーム → スプレッドシートのデータ変換で、そこまで親切なデータではなく1シートにずらっと結果が並ぶので、そこからシート分けしたり、ソートするのは、人それぞれのやりかたになって骨が折れるかもしれません。なので、フォームの各形式に注意し、先に変換から整理までやってみて調整するとよいです。

電話連絡

立候補者への電話連絡も、1回目で出なかったらすぐにSMSでのメッセージ連絡にすることにしました。

さきほど書いた通り、私も知らない番号からの電話は、でないか、すぐ番号をググって判断するんですけど、お母さんたちと話してると結構逆の意見があって、年代が少し上の方だと、電話の場合はすぐ出なくちゃって感じるという人もいて驚きました。

結果としては電話+SMSは安定したようで、携帯電話ならではですが、負担が減ってよかったです。形に残るって意味ではメールアドレスもありますけど、全員分は集めていないし、現代だとちょっと確度が弱い感じあります。


引き継ぎ資料

テンプレ

結果的に大成功の改善だったのですが、大きく作業手順を変更したことと、ITシステムを多用したため、引き継ぎ資料をキッチリ作る必要がでました。

まずは、実際に使用したドキュメント/スプレッドシート/フォームをコピーして、編集部を空にするなどし、次年度以降用のテンプレートデータを作成していきました。

そして手順のドキュメントを書いていき、共有化したテンプレートデータのURLを貼り付け、コピーして使うよう記述しました。

USBメモリ

元々使っていた引き継ぎ用USBメモリもあるし、いきなりオンラインデータだけってのもアレなので、ドキュメント/スプレッドシートはオフラインデータとして保存し、USBメモリにも保存しました。

フォームはオフラインデータにならないので、テンプレURLでやってもらうしかありません。

今回は可能な限りUSBメモリにも入れましたが、次のGoogleアカウントを記述したデータも入れたので、アカウントログインすれば全てがあるので、いつかはUSBメモリへの保存を不要と判断してくれるでしょう。

Googleアカウント

テンプレなどの共有データをどこに保存したかですが、新規にGoogleアカウントを作成して、そこに全てを保存しました。(私などの)個人アカウントに引き継ぎデータを置くのは、責任や保証の観点で良くありません。したがって、専用アカウントに保管するのが望ましいです。

Googleアカウントは電話番号不要で、いたって普通に作れるので便利です。

注意事項として、複数人での利用は禁止とされています。これについては悩みましたが、この”複数人”の例としては、複数デバイスからのメールアドレスへの同時接続といった、同時利用のことを指していると判断しました。それ以外にも無闇矢鱈に複数人で扱わないべきである、と。

なのでデータ保管所がメインであることや、各年度ごとの一般作業はこのアカウントで行わないこと、最初や引き継ぎ更新などで必要な場合は1人でログインして作業すること、などを明記しました。


補足

いくつか細かいことを。

Google or Office

元が Word / Excel なのに、なぜ Google にしたかは、ただ私が好みだったからです。

WEB版Office は使ったことはなく、昔はビジネス用途でOfficeを使った時期もありましたが、フォームも使いたかったし、現在よく使う Google 系統に不満がないため、そのまま選択しました。

この選択は人それぞれでしょうが、もし迷うことがあるなら Google でだいたい大丈夫、とは勧めておきます。

提案者

色々改善について書きましたが、全てを私が決めたわけではありません。

初手や整理整頓は多く手掛けましたし、システムの説明などサポートもしましたが、いったん形にして動き出すと、思ったより皆さんガツガツ進めてくれて、ここはこうしたらいいんじゃない?とか、データ整理もより良くしてくれたりしました。

どのくらいの割合が、仕事などでITシステムに触れたことがあるかは知りませんが、現代における20代後半~50台前半という広範囲においても、説明すれば普通に理解して動いてくれるし、正直な感想として、なんにも困ることなく仕組みの改善を完遂することができました。

現代人、みんな強ぃぉ!

地域性

とはいえ、地域や人材によっては合わないってのはあると思います。参考までにですが、ウチの地域はかなり平和で、一切荒れのないような所でした。

委員十数人で男1人でしたけど、皆さん温厚でメッセージの距離感もほどよく、めっちゃ感謝もされるわで、地獄のPTAイメージ(偏見)はどこへやら。


感想戦

とても不思議なことがあって、

1つは、いくつかの活動や交流を通して、それなりに周囲のお父さんお母さん方とコミュニケーションをとると、多くの方がPTAの活動が無くなって欲しいと思っていることです(個人の体感です)。

もう1つは、PTA役員はそう長くない年単位で入れ替わります。

この2つの条件が揃っているのに、PTAの不要・非効率な活動や、半強制的な慣習がなかなか無くならないのは何故なのか……ということです。

PTAの大魔王みたいな人物が長年鎮座している、とかならその現象に納得いくのですが、人が入れ替わっていくのに不満がちな文化だけが継承されていく…… うーん、まだ見ぬ闇の勢力か。


PTA活動の全てが無駄ってわけでもないので、無くすべきかまでは環境によって異なるでしょうが、少なくとも教師の負担にならず(負担が増えるのは論外)、子どものためになる活動以外は縮退していくべきで、時代・社会情勢に合わせて最適化は続けるべきでしょう。

そうしないと、いつまでも非効率で不平不満の多い組織として、子だけでなく下手したら孫の代までそのまま……なんて、先に生きる者として嫌なはず。

もっと共働きの割合が増えれば、自然と変わるかもですが、全員が活動に関わるという公平性ではなく、全員がやらない公平性に寄せつつ、最小限の必要な活動を残す方向性になんとかならないかなと感じた次第です。


今回、私は得意分野だったから少々のマンパワーを発揮しましたが、運良く?闇の権威に遭遇することなくやり遂げることができました。一気に無くすのもありえなくはないですが、闇に返り討ちに遭ってもツライので、少しずつ最適化するのが無難かもしれません。

そして……
貴方の中に潜在する変化を恐れるココロ、それこそがPTAの闇の正体なのです……!

ドーン!!(AA略

みたいな、喪黒福造的FINISHでいかがでしょう:-)