教えるということ

少し前にあった 3歳息子「ママー、だえんってなに?」→親として、かつ数学教員としてどう答えるべきか?「すごく良い説明」「頭いい」 – Togetter について共感下書き掘り起こし。

対象の年齢にかかわらず、『教える』ことには大切なコツがいるよねって話です。



自分の例

子どもが低学年だった頃、子とその友達がジュースのペットボトルの裏表記を見て、
 「エキスってなぁに?」
と質問してきました。

これに対して私は
 「何かを絞って出た汁のこと」
と答えて納得してもらえました。

それを横で見聞きしていたママ友が、
 「何今の、秒で返すのメッチャ凄いんだけど!」
と痛く感心していたと。

そんな反応をもらって考えてみると、たしかに今のは上手に返せた方な気もするし、いつもの降りかかる『なぜどうして』をキッチリ打ち返そうとする日常茶飯事に過ぎないとも言える程度でもある。

子どもの疑問質問はとても尊いし、回答する以上は意味があるもの──つまり相手が理解できるものにしたいという思いがあります。

自分の子どもを毎日育てていれば成長度合いがわかり、どれくらいの単語や説明を理解できるかも把握できるため、そう難しいことではありません。と思っていましたが、実は案外そうでもないこともわかってきたと。多分、国語力とか自頭うんぬん、じゃない気がしています。


必要なコツ

”説明”を含む会話をする場合、私は以下のことに気をつけながら話しています。

  • 相手のレベルを察する能力
  • それに合わせた説明をする能力

  • これらが揃えば、ほぼ軋轢を生むことなく教えることができます。その返答速度はそう重要なことではなく、ゆっくり話したり、相手と一緒に考える体をとったりなど、色々適した手法があります。

    大事なのは、しっかり向き合って相手をし、会話のキャッチボールを成立させることです。そうすれば、疑問をいだき、質問をする、ということが当然な仕草となり、さらなる成長を期待できます。


    不特定多数や初見相手の場合、相手が違和感を持たない程度の手探り会話をすることが多いです。自分が思う平均的な会話レベルより少し低めというか、より一般的な表現に近い方向で話します。

    その中で、ところどころの単語や表現で、反応が鈍いことがあれば、その周辺知識の理解度が低いかもしれないと想定して、より砕いたり、相手に直接感触を確認したりして進めます。

    そもそも自分が説明に慣れないうちは、余裕がないので突っ走ってしまいがちですが、経験を積めば相手を置き去りにしないようにする配慮が可能になります。これは会話だろうとチャットだろうと、社会人だろうと子ども相手だろうと同じです。


    ダメな仕草

    反対にこれらができない場合、

  • 自分の持つ知識や前提を、相手も知っていて当然として振る舞う
  • なぜ理解してもらえないか理解できず機嫌が悪くなる悪循環

  • ということが起こりがちになります。

    子どもに限らず、IT業界でも、相手構わずカタカナ横文字をまくし立てる人がいます。だからといって仕事ができるかできない人かは判断できませんが、少なくとも教えるのは下手だろうな、という印象を抱きます。

    日常会話ならいざしらず、特定の業界や専門知識を扱う会話では特に重要で、お互いが会話の認識度合いを探りつつすり合わせたり、わからんことは気軽に説明を求めたり、をできる空気づくりを大切にしたいところです。


    上手になるキッカケ

    自分自身、めちゃ上手いというわけではなく、それなりにはってとこだと思っていますが、20代前半とかは余裕がなくむしろ苦手でした。どこで培ったのか。

    IT技術面でいえば、知識や実戦経験を積んだことで自信がついたり、アウトプットし続けたことで説明自体がマシになったのかもしれません。

    ただ、相手(の能力)を読み取るという仕草は、格ゲーで培った気がします。数十秒でも戦えば、相手がどのくらいの技術と知識があるか大雑把に判断できるし、数分も戦えば戦法や性格もわかってきます。

    自分は変則弱キャラ使いなので、『読み』という要素は強さのかなりの部分を占めており、それが日常でも発揮されている感触です。会話してても、
    「この人は何が言いたいんや?」
    「どのくらい理解してるんや?」
    「どのくらいの専門性やツッコミに耐えられそうか?」
    と、半分聞いて半分探っている気がします。

    要は、コチラが知ってる側ならば、相手を置いてかないように配慮し、逆の立場ならば不明点を整理して先に伝えて解消することで、より早く目的の課題解決へ到達したいということです。

    マウント優越感とか、質問する恥ずかしさとか、どうでもよくって、なにより早く適切に進行できることが重要って考えです。



    自分の子どもにはゼロ歳から言葉を教えているわけですが、12年経過した今でも、何かあったら「●●ってなーに?」と遠慮なく聞いてきます。成長してくると場合によっては「電子辞書で調べてみ」って返すこともありますが……

    即答して話を広げることもあれば、最近は質問が難しくなってきて、正直にわかんねーから調べてみよーぜって体をとったり色々で、誤魔化すことは一切しないので、うまいこと信用と信頼が積めているのかなという感触です:-)