IT企業の勤務時間帯と子育てについて

私は、それまで 9:30-18:30 だった勤務時間を、4月から 8:30-17:30 に変更しました。理由は単純で、息子の為なのですが、この1ヶ月間で感じたことでもツラツラと書いてみます。

最近のIT企業では、フレックス制だの、午後から出勤だの色々ありますが、その辺の事情も気になったのでついでに軽く調べつつ、現状の見直しでもしてみようかなと思った次第です。



私の育児事情

私の家庭はいわゆる共働きなのですが、家事育児の99%は私が稼働することで成立しています。ゼロ歳の生まれたての頃から、夜な夜な三時間おきに起床してミルクをあげつつ、通常通り業務をこなしていました。と言えば、わかる人には大体わかってもらえるでしょう。

稼働率を50/50に近づけたいという希望は一瞬ありましたが、人間、得手不得手がありますし、ストレスを一切溜めずに家事・育児・教育、全てこなせてしまう私がやってしまうことが、ベストだろうという判断があり、結果的に素晴らしい息子に育ってくれている真っ最中でございます。

──という、そもそも、私のこの前提条件からして、あまり一般的ではないので、私がこうだったからこうしたほうがいい!なんて言うための記事ではありません。こうしたら結果的に良かったし、社会はこんな事情なんだね、という程度のソフトな感じです。


勤務時間を前倒しした理由

現在、息子は5歳の保育園・年長さんです。来年には小学校へ入学します。

保育園では、9:00-19:00 で夕飯まで出してもらい、
私は、送迎して 9:30-18:30 に勤務していました。
(※実際には子どもの起床遅れなどで、若干遅れていますが)

それを今回、保育園を 8:00-18:00 に変更して夕飯をナシにし、
勤務時間を 8:30-17:30 に1時間早く変更しました。

こうした理由は、来年からの小学校の登下校時間を踏まえ、1年間の猶予をもって、子どもの生活時間慣らしと、私の夕飯作りのレベルアップをするためです。父子双方にとって、入学と同時に生活習慣を変更するのは、どう考えても危ういからです。

特に最初は放課後は学童保育となり、それが18時までとなるため、19時までとする場合は私立の学童などをハシゴすることになってしまい、健全で効率的な生活とは言えないものとなってしまいます。

これを避けるため、18時までに自宅周辺まで帰れることと、夕飯を美味しく作ることを必須と考え、年長クラスへ上がるタイミングで切り替えてみました。


勤務先の制度

私の就労形態が、そもそも裁量労働制なので、みなし残業時間的な仕組みはあるものの、多少勤務時間が長くなろうが短くなろうがあまり影響はありません。足りなければ苦なく自宅で作業しますし、結果を出していれば細かいことはいいでしょ、というスタンスは長らく変わらないからです。

ただ、だからと勝手に時間を変更すると、勤務時間をチェックされた時に面倒事が発生するだけなので、上長に予定を報告の上、ルールに従って申請をするという形をとっています。

幸い、ドリコムには育児支援制度があり、時短・時差勤務という仕組みが用意されています(アピール)。今回の時差勤務の場合、勤務時間を前後に最大1時間半ズラせるというものです。

こういった仕組みが明確に存在すると、上長が個々に把握したり判断する、ということがなくなりますし、申請する本人も心置きなく実行できるので非常に有益であると感じました。

いつまで学童に頼るかは、息子の自立次第であり、できるだけ早く通常の自由時間にしてあげたい方針なのですが、最初数ヶ月は小学校への慣れと、友達作りの一環として行くべきと考えていますし、中高生になってもあえて家族との時間をズラす方向に戻す理由もないため、最後まで時差勤務を続けられればなと思っています。
(※現状の制度的には9歳までなのですが、改善してほしいという願いを込めて)


変更して良かったこと、悪かったこと

一番大きいのは、子どもと過ごす時間が増えたことです。時間的には微量ですが、夕飯を共にするということは、濃密になるかなり大きな変化であり、息子本人に聞いても非常に喜んでくれています。

食事のメニューを考えたり、作ったり、片付けるのは人によっては面倒でしょうが、私は学生時代に飲食店でバイトしていたので、焼きや包丁さばきには多少の自信があり、料理は科学なのでエンジニアが嫌う理由はないよなー、と思いつつ普通に取り組んでいます。食事を作ると心が穏やかになるし、美味しいと言ってもらえると心が澄んでいくので、精神的にも好影響だと思っています。とはいっても、メインディッシュだけ買って帰って、それ以外を作るだけにしたり、作りおきが無いときは外食する、といった時間短縮や手抜きはしますけども:-)

業務的には、昔は独身で通常時間勤務だと、わりとダラダラ残って色々やってしまうことがありましたが、送迎があり、かつ通常外の時間と決め打ちしていると、作業スケジュールの決め方と、その遂行力が自然と上がったように思います。午前・午後の時間振り分けが3・5だったのが4・4になったのも、バランスがよくなって集中力が欠けづらくなったのも大きいです。

あとは通勤電車が多少混みやすくなったというのはありますが、山手線は8時台ならたいして気にならないレベルですし、帰りの17時台はむしろ空いているので、プラマイゼロといったところでしょうか。

──という感じで、いまのところは良いこと尽くめという印象です。


各社の勤務時間

あまり自分語りをし続けてもつまらないので、ここで各社の勤務時間を見てみましょう。ここに一覧した企業は、IT企業一覧から適当にピックアップしただけで、特に意図はありません。掲載情報も、「勤務時間」の項目からコピペしただけで、その他制度についてはほとんど追っていないのであしからず。

勤務時間↓備考
楽天09:00-17:30朝会実施日の就業時間は8:00-16:30
所定労働時間7.5時間、休憩時間1時間
NTTデータ09:00-17:30職種により個人別時差出勤、
フレックスタイム制度あり
ドリコム09:30-18:30実動8時間
クックパッド09:30-18:30フレックスタイム制度あり
コアタイム 9:30-15:00
Gree09:30-18:30
DeNA09:30-18:00所定労働時間7.5時間
Mixi10:00-19:00フレックスタイム制度あり
コアタイム 10:00-15:00
フレキシブルタイム 6:00-10:00, 15:00-19:00
ガンホー10:00-18:00実働7時間
サイバーエージェント10:00-19:00職種によっては裁量労働制適用
LINE10:00-18:30実働7時間30分
はてな10:00-19:00実働8時間、休憩1時間
職種によって変動あり
ドワンゴ裁量労働制:1日8時間のみなし労働制
フレックスタイム制:標準労働時間8時間
(コアタイム11:00~15:00)
Yahooフレックスタイム制(コアタイム10:00~15:00)
標準労働時間7時間45分
Google週30時間
フレックスタイム制

こうしてみると、多くの企業が 9:30 以降を定時としており、フレックスの導入も多くされているようです。ちゃんと調べたら、もっと多いでしょう。そのため、私のように子どもに合わせた生活を試みたければ、わりと実現できる環境が多いということで、なかなか喜ばしい業界ではないでしょうか。


なぜ9時より遅い企業が多いのか

ドリコムの場合、私が参画した頃にはまだ定時というものがなかったように思いますが、そう遅くない頃のいつしか 9:30 出社ということに定まっていました。これは確かな記憶ではないですが、駆け出しのベンチャー企業で学生だらけだったその頃、皆がだいたい集まっていて、かつ遅すぎず早すぎずということで 9:30 になっていたように思います。

つまり、起業当時の事情がそのまま続いているということです。

IT企業の特徴として、最初は精鋭少人数でがむしゃらに頑張り、当たれば急成長していくというパターンがあります。その成長初期の生活習慣としては、おそらく寝る間も惜しんで業務をこなし続けることがほとんどで、朝も夜も遅い、というのが常です。それが気づいた頃には中規模・大所帯になり、制度の整備を余儀なくされ──結果的にその生活習慣を引きずって、遅めの出社時間に設定してしまうのではないでしょうか。


出社時間は早くした方がよい……?

先に述べたとおり、小学校・中高という事情があることを踏まえれば、間違いなく8時台の出社時間と17時台の退社時間が有効です。そのため、起業したばかりの企業は、早めの基本時間の設定や、早期のフレックスタイム制導入などを検討したら、長い目でみて幸せな組織になるのではないかと思います。

ただ、私も超絶ベンチャー時代を経験しているのでわかるのですが、いつ潰れてもおかしくない時代に、のらりくらりやってて潰れたらそれでオシマイなので、非常に難しいポイントではあるのです。何を隠そう、私も一日を36時間周期で過ごした激動の時期もあり──それは睡眠障害に陥ったのですぐ止めましたが、夜中の方が集中できて作業が捗る(気がする!)のは若いうちは誰でも陥る罠でしょう。

実際には、日中に4~6時間程を業務に集中して、残りは作業内容の整理、情報収集、勉強、明日のスタートダッシュのための仕込み、に当てたほうが、効率が良かったりするんですよね。そういう体感があるので、Googleの週30時間という設定は、的を射ているのだろうと思います。

ただそれは、一定以上の地力と経験がないと成り立たなく、周囲からの信用も必要なので、駆け出しの頃はやるしかない!ってことになっちゃうんでしょう。そんな連中が多く集まる状態で、ある時期に急に、未来の家庭や老後のことを考えて制度を改革しよう!というのは、ほぼ無理に等しいかもしれません。


フレックスタイム制や在宅勤務

一部には、時間を共有しないとチームワークがーーーとか言う人がいるかもですが、始終の1~2時間がズレただけで狂うチームワークとか、なにそれ?他に問題あるんじゃないの!? って思いますし、会議なんて減らす方向が正とされる時代なんだから、会議の時間合わせも理由にならないんですよね。

まぁ、この辺は業務内容にもよるので事情は様々でしょうが、個人的には、時差勤務やフレックスタイム制は有用、というか必須だと思っています。私のように子どもとの生活を大切にしたい場合は早くでき、朝が苦手──はただの甘えだと思いますけど、何らかの事情で遅くしたい人もいるでしょう。得られる結果に大差がないならば、希望を受け入れて叶えてあげたほうが、モチベーションを高く保ててむしろ高パフォーマンスになることを期待できるってものです。

在宅勤務はウチには制度がないんですが、これはさすがに大人数になると成り立たないかな、と思っています。というのも、自分自身、たまに有給をとって大半を自宅で過ごすとき、仕事頑張ろうと思っても、集中できる時間が少なく、なんだかんだで他の余計なことを多くしてしまうからです。これが毎日在宅勤務となると意識は変えるでしょうが、この危うい部分を大人数に対して信用する、というのは十分なシステムと余程の経営的決断が必要になりそうです。

ただ、家だとトイレが必ず空いているという超絶メリットがありましてな……。


企業選びの際には

必要になるかは人生次第ではあるものの、企業選択の際には、時差出勤的な仕組みの存在を必須にした方が、それ以外の制度や待遇面をひっくるめて、長い目で見て苦労の少ない就労条件となることが多いと思います。

独身だから、そっち方面に優しく気を配れない、ということはもちろんありませんが、家族持ちで子どもを大切にしている人間が、社長や上長である方が、いざ生活を変化させたい時や有事の際に理解を得やすいであろうことは、想像に難くないでしょう。そういった人間が多い組織であれば、自然と全体がそういう文化になるものですので、転職活動の際に雰囲気を掴んだり、実際にそういった質問を投げかけてみて、どれだけ真摯に答えてくれるか探ってみるとよいでしょう。



私の父が数年前、こういう話をしてくれました。

 『小さいころ、もっとたくさん相手して、もっと色々やってあげればよかったと、少し後悔しているよ』

と。当時は平日こそ朝晩に少し会うだけでしたが、休日は可能な限り遊んでくれていたため、私は特に不満を覚えたことはなく、昭和末期の時代としては、よくある家庭事情だったと思います。

父親となった今、これが「言葉」でなく完全に「心」で理解できた心境です。この後悔を受けたことも上乗せされて、可能な限りの体力と精神を注ぎ込んで、現在、絶賛ナイスガイに育ち中です。

注ぎすぎて絶賛育児腰痛に悩まされていますが! 少しでも多くの企業が、家庭を大切に考えてくれて、それを適切に受けて子どもと多くの時間を過ごそうとする親が増える社会になってほしいものです、とポエム置いときますね:-)